WordPressでブログを始めたいけれど、「AWSとレンタルサーバーのどちらを選ぶべき?」「できるだけ低コストで運営したいけど性能も妥協したくない」と迷っている方は多いのではないでしょうか。実際、どちらにもメリットとデメリットがあり、用途や予算、今後の運営スタイルによって最適解は変わります。
結論から言えば、初心者で低コスト重視ならレンタルサーバーが、柔軟性や拡張性を求めるならAWSが有利です。つまり「どちらがお得か」は、あなたのブログ運営の目的次第で変わるのです。
本記事では、実際にAWSを使ったWordPressブログを運営している筆者がAWSとレンタルサーバーをコスト・性能・管理のしやすさ・将来のスケール対応といった観点から比較し、WordPressブログを始める際にどちらを選ぶべきかを具体的に解説します。これを読めば、自分に合ったサーバー環境を見極め、失敗せずにWordPressをスタートできるはずです。
AWSとレンタルサーバーの違いを簡単比較(WordPress向け)
まず結論を短く整理すると、WordPressブログを「低コストかつ簡単に始めたい」ならレンタルサーバーが向くことが多く、サイトのカスタマイズ性や将来の拡張性を重視するならAWSが有力な選択肢になります。レンタルサーバーは手間が少なく初期設定が簡単で、ワンクリックでWordPressが立ち上がる点がメリットです。一方でAWSは学習コストがあるものの、必要に応じて細かな構成変更やスケール、各種マネージドサービスの利用ができ、運用の自由度が高いという特徴があります。本節ではコスト、性能、運用負担の観点で違いを整理します。
- コストの種類(初期費用・月額・運用コスト)
- 性能とスケーラビリティの比較
- 管理負担と運用の違い(管理画面/CLI/自動化)
- レンタルサーバーの料金プラン(共用/VPS/マネージド)
- AWSの料金要素(Lightsail/EC2/RDS/転送量/S3)
- 小規模ブログの具体的なコスト試算ケース
- 月500円〜で運用する現実的な方法(Lightsailや低スペック運用)
- サーバー性能がSEOに与える影響(表示速度・TTFB)
- データベース構成と高速化(RDS/マネージドDB vs ローカルDB)
- レンタルサーバーのワンクリック導入と管理画面の利便性
- AWSでWordPressを運用する際の学習コストと自動化ツール
- サポート体制・コミュニティ・ドキュメントの違い
- 新規構築の基本ステップ(ドメイン・DNS・SSL・WPインストール)
- 既存サイトの移行フロー(ファイル・DB・メディアの移行)
- 個人ブログ(低コスト重視)ならレンタルサーバーがおすすめ
- アフィリエイトやトラフィック増加を見込む場合はAWSがおすすめ
- 事業サイト・高可用性が必要なケースではAWSが最適
コストの種類(初期費用・月額・運用コスト)
コストを考えるときは初期費用、月額費、そして運用にかかる時間や外注費を含めて評価することが重要です。レンタルサーバーは契約プランに応じた明確な月額料金に、独自ドメインや有料SSL、オプションの自動バックアップ料が加わるケースが一般的で、見通しが立てやすい一方で高負荷時には上位プランへの移行でコストが上がります。AWSは利用した分だけ支払う従量課金制になっているため、インスタンス形状や転送量、ストレージ、データベースの選択によって料金が大きく変動します。初期費用自体はゼロに近いことが多いものの、監視や自動化、スナップショットの保存など運用設定次第で毎月の請求が変わる点に注意が必要です。
性能とスケーラビリティの比較
性能面では、レンタルサーバーの共用プランは他ユーザーとリソースを共有するためピーク時に影響を受けやすく、逆に専用やVPS、マネージドプランは安定性が増します。AWSはインスタンスタイプを選んでCPUやメモリを細かく調整でき、負荷に応じて垂直・水平にスケールする設計が可能です。そのためトラフィックの急増に備えるならAWSの方が選択肢が多く、CloudFront(CDN)やオートスケーリングと組み合わせればパフォーマンスと可用性を高度に確保できます。
管理負担と運用の違い(管理画面/CLI/自動化)
レンタルサーバーはウェブベースの管理画面とワンクリックインストールが揃っており、初心者でも短時間でWordPressを始められます。更新やバックアップ、メール設定など基本的な運用は提供側がサポートするため運用負担は小さいです。AWSはGUIのコンソールやCLI、Infrastructure as Codeツールを通じた自動化が可能で、運用の自由度は高い反面、セキュリティグループやIAM、バックアップ戦略など自分で設計・管理する必要があり、学習コストと運用工数が増えます。
初期費用と月額で比較:個人ブログ(低コスト目線)の実例

個人ブログを低コストで運用する場合、選択肢は大きく分けてレンタルサーバーの共用プランと、AWSのライトスペック運用(AWSLightsailなど)です。レンタルサーバーの共用プランは月額料金が明確で、初めてのブログならドメインと合わせても年間の予算が読みやすい点が魅力です。対してAWSは最小構成で運用すれば月額をかなり抑えられる可能性がありますが、転送量やバックアップ、スナップショット、予期しないトラフィックで料金が跳ねるリスクを考慮する必要があります。
レンタルサーバーの料金プラン(共用/VPS/マネージド)
レンタルサーバーは安価な共用ホスティングから、より自由度の高いVPS、WordPressに特化したマネージドホスティングまで幅があります。共用は手軽さと低料金が特徴で、VPSは専有に近い環境を低価格で確保し、マネージドはパフォーマンス最適化やセキュリティ、バックアップをホスティング事業者が担うため運用が楽になります。用途や予算、運用スキルに合わせて選ぶのがポイントです。ちなみに共用ホスティングのレンタルサーバーを提供しているXServerでは一番安い価格であるエントリープランで月693円(※2025/9/4 17:00 – 2025/10/6 17:00までのキャンペーン価格)となっておりAWSがより安いコストで運営することが可能です。
AWSの料金要素(Lightsail/EC2/RDS/転送量/S3)
AWS側はLightsailのような低コストで簡単に使えるサービスもあれば、EC2とRDSを組み合わせる本格構成もあります。Lightsailは定額プランで予測しやすく、簡易的なWordPress運用に向いています。筆者である私もAWSLightsailで月500円で運用しており、EC2はインスタンスタイプやストレージ、ネットワークを自由に選べ、RDSを使えばデータベース管理をマネージドで行えます。さらにS3はメディアの保存、CloudFrontは配信の高速化に寄与しますが、それぞれ追加コストが発生する点は忘れてはいけません。
小規模ブログの具体的なコスト試算ケース
小規模ブログを低コストで回す実例として、レンタルサーバーのエントリープランを使えば初期のランニングコストを非常に低く抑えられ、管理作業も少ないため時間対コストの効率が良いです。AWSで安く始めるならLightsailの最小インスタンスや、フリーティアを活用して初年度を抑える方法がありますが、運用監視やバックアップの自動化まで自力で設定する必要があります。月額500円台での運用は技術的には可能ですが、運用リスクや時間コストを考えるとレンタルサーバーの方が総合的に楽な場合が多いでしょう。
月500円〜で運用する現実的な方法(Lightsailや低スペック運用)
月500円程度で始める現実的な策としては、まずは機能を削ぎ落としてライトな構成にし、キャッシュとCDNで転送量を抑える工夫をすることです。Lightsailの小容量プランや最小の仮想サーバーを選び、画像はS3や外部の画像配信サービスに置き、キャッシュプラグインを導入してアセット配信を最適化することでコストを抑えられます。ただし、トラフィック増加時の対応やバックアップは自分で用意する必要があるため、運用スキルを上げるか、必要に応じてプランを見直す覚悟が必要です。
パフォーマンスと表示速度:SEOに効く選び方
検索順位に影響する要因としてページ表示速度やTTFB(Time To First Byte)は無視できません。サイトを高速化するためのサーバー選びは、WordPressの最適化と組み合わせることが重要です。
サーバー性能がSEOに与える影響(表示速度・TTFB)
レンタルサーバーでも十分高速なケースは多いものの、特にTTFBは使用しているサーバー環境とネットワーク構成に左右されます。AWSのようにインスタンスタイプやネットワークを最適化できる環境は、初めから高い応答性を狙いやすい一方、設定が不適切だとパフォーマンスを十分に引き出せません。結果として、SEOを意識するならサーバー性能に加え、キャッシュや画像最適化、不要なプラグインの削減などサイト側の最適化も必須です。
データベース構成と高速化(RDS/マネージドDB vs ローカルDB)
データベースの応答性はWordPressの体感速度に直結します。レンタルサーバーのローカルDBは簡単に使える反面、負荷が高まると共有リソースによる制約を受けやすくなります。AWSでRDSなどのマネージドDBを使えばパフォーマンスチューニングやスケールがしやすく、運用負担を軽減しつつ高負荷に耐える構成が組めます。ただし、RDS利用時は接続設定やネットワーク構成、コスト設計に注意が必要です。
運用の手間とサポート:初心者に優しいのはどっち?
運用の楽さは選択を左右する重要な要素です。技術的な負担をどこまで自分で負えるかに応じて選びましょう。
レンタルサーバーのワンクリック導入と管理画面の利便性
レンタルサーバーの最大の利点は、契約後すぐにWordPressが使える手軽さです。管理画面でメールやDNS、データベース、バックアップの設定が直感的に行え、問題があればサポート窓口に問い合わせられる点が安心材料になります。初心者や技術に時間を割きたくない人には非常に向いています。
AWSでWordPressを運用する際の学習コストと自動化ツール
AWSで運用する場合は初期の学習コストが大きく、セキュリティグループやIAM、バックアップ、監視など複数の領域を理解する必要があります。ただし一度自動化(Infrastructure as Code)を整えれば同じ構成を簡単に再現でき、運用効率は高まります。学習を投資と捉え、自分で細かく制御したい人にはAWSが魅力的です。
サポート体制・コミュニティ・ドキュメントの違い
レンタルサーバーは日本語でのサポートや契約者向けのマニュアルが整っていることが多く、問い合わせ先も明確です。AWSは公式ドキュメントが充実しておりコミュニティも大きい反面、英語のドキュメントが多い場面があるため、問題解決に時間がかかることがあります。有料サポートを契約すればAWS側のサポートは手厚くなりますが、その分コストが上がります。
導入・移行手順と注意点(WordPressを始める/移行する)
ここでは新規構築と既存サイトの移行を、実際に行うステップとしてわかりやすく説明します。またより詳しくAWSを使ったWordPressブログを始めたい方はAWSで作るWordPressブログ|初心者が失敗せずに始める7つのステップで詳しく説明していますのでぜひ参考にしてください!
新規構築の基本ステップ(ドメイン・DNS・SSL・WPインストール)
ステップ1: ドメインを取得し、管理画面でDNSを設定する。
ステップ2:レンタルサーバーならワンクリックでWordPressをインストールし、AWSならLightsailやEC2上にウェブサーバーとPHP、MySQL(またはRDS)を準備してWordPressを配置する。
ステップ3:SSLを導入し、HTTPからHTTPSへリダイレクトする。
ステップ4:キャッシュやセキュリティプラグインを導入して初期の最適化を行う。ステップ5:Google Search ConsoleやAnalyticsを設定して運用を始める。
既存サイトの移行フロー(ファイル・DB・メディアの移行)
ステップ1:現在のサイトのファイルとデータベースをフルバックアップする。
ステップ2:新しい環境にWordPressを用意し、wp-content以下のファイルとデータベースのダンプをインポートする。
ステップ3:wp-config.php の接続情報やドメインの設定を更新し、必要に応じてURLの置換を行う。
ステップ4:メディアが多い場合はS3や別サーバーに移すことを検討すると配信負荷を分散できる。
ステップ5:移行後にサイト全体をテストし、問題がなければDNS切り替えを行う。
ケース別結論:どちらがお得か(初心者/収益化/企業)
読者の状況に応じて最適解は変わります。ここでは代表的なケースごとに結論を示します。
個人ブログ(低コスト重視)ならレンタルサーバーがおすすめ
個人でまずは低コストで始めたい場合は、レンタルサーバーの共用プランやWordPress専用の入門プランがベストです。初期設定が簡単でサポートが充実しており、運用にかかる時間を最小化できます。将来的にアクセスが増えたら上位プランへの切り替えや、必要に応じてAWSへ段階的に移行するのが現実的な戦略です。
アフィリエイトやトラフィック増加を見込む場合はAWSがおすすめ
収益化を本格的に目指し、トラフィックの増加が見込まれるなら、初めから拡張性を考えた構成が安心です。AWSのLightsailやEC2をベースにCloudFrontで配信負荷を分散し、RDSなどでデータベースをマネージド化することで、スムーズにスケールできます。とはいえ、運用リソースが限られる場合はマネージドWordPressホスティングを利用して専門家に運用を委ねる選択肢も検討してください。
事業サイト・高可用性が必要なケースではAWSが最適
事業用途でダウンタイムが許されない場合は、AWSのマルチAZ構成、ロードバランサー、オートスケール、およびマネージドDBを組み合わせるのがベストプラクティスです。さらに監視と自動復旧の仕組みを整え、定期的なバックアップとリカバリ演習を行うことで可用性と信頼性を高められます。
まとめと次の一歩(予算・スキル別おすすめ)
最後に、予算とスキルに合わせた簡単な指針を示します。予算が限られ、まずはブログを手早く始めたいならレンタルサーバーのエントリープランを選び、日々の運用やセキュリティはホスティング側に任せるのが賢明です。技術を学びつつコストを抑えたい人や将来の拡張を見据える人はLightsailや小規模EC2構成から始め、必要に応じてRDSやCloudFrontを導入していくと良いでしょう。事業レベルで可用性が求められるなら最初からAWSの設計を前提にすることをおすすめします。
導入後の次の一歩としては、まず現在の目的と予算を明確にし、簡単な比較表を自分で作ってみることです。そのうえで短期的に必要な機能(バックアップ、SSL、メール、サポート)を優先し、余裕があればパフォーマンス最適化とCDN導入を段階的に進めてください。どの選択をしても、定期的なバックアップとセキュリティ対策は欠かさないことを忘れないでください。


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